試験本番では誰しも緊張する。緊張しないというのは不可能であり、合格という二文字が現実味を帯びれば帯びるほど、そのことを無意識に考えてしまい、結果的に緊張はピークに達するものである。
緊張を悪いものと考える人がいるが、その考え方自体が正しくない。むしろ適度な緊張は能力を120%で発揮するチャンスであり、このチャンスを活かさない手はない。この適切な緊張が高まった状態を『ゾーン』と呼ぶこともあるが、この『ゾーン』に入ると、いわゆるケアレスミスの割合がグッと減り、頭が冴え、計算スピードや読解スピードも上がり、いつも以上に問題への解答が快走状態となる。
ここで大切なのは、この適度な緊張状態を意識的に作り出し、事前にその緊張状態になれるように準備し、さらにはその練習を重ねることである。ゾーンとは無意識のものではなく、日々の練習で意識的に作り出せる。どんな領域にせよ、プロと呼ばれる人たちはこのゾーンを非常に上手に活用し、結果的に“プロ”レベルの結果を出している。
このゾーンに入るためのやり方は一人ひとり様々な方法があるわけだが、一つオススメなものとして、ゾーンに入るためのマイルーチンを決めておくというやり方がある。ちょうど7-8年前に話題になったが、例えば当時のラグビー日本代表の五郎丸選手はキックの前に必ず指を組むポーズをマイルーチンとして決め、どんな場面でも必ずそのポージングからスタートしシュート決定率を高める工夫をした。このようなポーズを組むというのはわかりやすい例だが、何もポーズを組まなくても、いつもゾーンに入る前に特定の言葉を口にして3回深呼吸をするとか、筆箱から筆記用具を取り出し机上にセットする順番を決めておくとか、そういったことでも良いわけである。
人は人である限り大事な場面で必ず緊張する。とするならば、その緊張を敵にするよりも味方にすることを考えよう。そして一瞬のうちに『ゾーン』に入り、自分の能力を普段以上に発揮しよう。一発勝負の受験では、そういった準備も試されている。