ときは12月。街はイルミネーションに彩られ、年末の気配が少しずつ濃くなっていく。しかし受験生にとってこの季節は、華やかさとは裏腹に、正念場の時期だ。
共通テストまであと1ヶ月。私大や国公立の二次試験までを見据えても、いよいよ「ラストスパート」の時期に入った。
この時期、焦りや不安が顔を出すのは当然だ。模試の判定や過去問の出来具合に一喜一憂することもあるだろう。周囲の「合格祈願」や「頑張ってね」の言葉が、逆にプレッシャーに感じることもあるかもしれない。
でも、ここでひとつ、思い出してほしい。受験は「最後の1ヶ月」で大きく変わるということを。
実際、12月に入ってから急激に伸びる受験生は少なくない。この時期の学習は通常の3倍程度の効果があり、学びは「積み重ね」から「統合」へと昇華するからだ。今までバラバラだった知識がつながり、ストーリー性を持った問題の解法が見えてくる。過去問に取り組むたびに、解法の精度が高まる。ミスをしても自分のミスの傾向が見えてきて、自分で修正できるようになる。これは、今までの努力が「形になる」瞬間だ。だからこそ、今やるべきことはシンプルだ。
過去問を解く。分析する。改善する。
間違えた問題を放置しない。小さな穴を埋める。
体調管理を徹底する。睡眠、食事、休憩。
「できること」に集中する。他人と比べない。
そして何より、「自分を信じる」こと。
12月は、受験生が一番「受験生らしくなる」月だ。知識だけでなく、精神的な強さも試される時期だ。だからこそ、ここで踏ん張れた人が春に笑える。
もし今迷いや不安があるなら、それは「本気で向き合っている証拠」でもある。逃げずに向き合っているからこそ、怖い。だからこそ、強くなれる。
最後に、ひとつだけ。
受験とは「自分との約束」を果たす旅だ。はじめに自分が決めた志望校に向けて、これまでどれだけ自分に嘘をつかず向き合って真摯に取り組んでこられたのか。今この瞬間に全力を尽くした人は、必ず次のステージで輝ける。
12月。雪の降る冷たい空気の中で、君の努力は確かな熱を持っている。
あと少し。あと少しだけ、春に向けて走り抜けよう。