4月から3カ月が経過した。順調に受験勉強は進んでいるだろうか?Yesの人もいればNoの人もいるだろう。ふつう計画とは多くの場合予定通りに進まないものであるから、Noの人の方が多いだろうか。Yesの人はその調子で学習を進め、Noの人は特に夏休みに一発奮起しよう。
さて、今回は英語の二本柱の一つである「英単語・英熟語」について、この夏休みまでにどのくらい進んでいるとライバルに秋以降大きな差をつけられるのか、逆に大きな差をつけられてしまうのかを考えていこう。自身の経験や、これまでに合格した人・不合格だった人の傾向を踏まえて考えてみたいと思う。
まず理想としては、最低でも夏休み終了時点で書き込みの完了している単語帳一冊は完璧に覚えていること、この状態があげられる。ここで完璧とは、任意のページを開いたときに95%程度の正答率を担保できる状態が積み重なっていることである。本塾では塾生にドンドン単語帳に書き込むことを推奨し、ときに私も塾生の書き込み具合のチェックを行っているが、その“マイ単語帳”が完成形になると、その一冊で頻出語を中心とした周辺語句を含む5,000単熟語は間違いなく拾えるようになっている。この語数レベルになれば、一般的な偏差値の大学・学部であれば英語で他の受験生よりもアドバンテージをとれる。ただし、医学部・難関大レベルでアドバンテージをとるにはさらに語数を増やす必要があるため、さらに一人ひとりの学力や志望校レベルに合わせて全体教科バランスの中で総合的に判断していく必要がある。
上記の理想状態には及ばない場合において、そこから一歩譲った状態目標は、夏休み終了までにマイ単語帳を7-8割程度は覚えていることである。このラインを下回ると英語でアドバンテージをとることはやや難しくなってくる。他の科目を犠牲にしても良い場合は秋以降英語だけに猛チャージをかけられるが、それは特殊な場合であり一般的でない。
そもそもなぜ英単熟語を早期に一定レベルに仕上げる必要があるのか。それは、英単熟語は文章を読解するための道具であり、道具の取得が遅れればその分だけ文章中での使い方に慣れて応用する練習時間が減るからである。大まかな道具の取得は可能な限り早く完成させるべきであり、残された時間で応用の仕方や精度の向上に焦点を当てるべきである。これは英単熟語に限った話ではなく、例えば数学でも物理でも化学でも基本的・標準的な問題の多くは実際の本番では道具として利用することが多く、その道具はなるべく早く手元に揃えておきたい。早期に一定レベルに仕上がったならば、以降はやや枝葉的な部分も道具に増やしつつ、覚えたものを忘れないようにメンテナンスおよび精度の向上をしていく。
おそらく多くの受験生は英単熟語も思ったように進捗していないだろうが、この夏が真に勝負であり、このタイミングで必要なものは早めに完成させるよう最大限の努力をしよう。仮に夏の間に思ったほど進まなかったとしても、秋以降に少しでも課題を残さないように全力を尽くした者とそうでない者には天と地ほどの差ができる。
最後に笑うために、この夏を自分の中の伝説にできるか、それが勝負の分かれ目である。