決断の早さと学力はほぼ比例する。例えば、日常生活のレベルでも何かをやる・やらないという判断を迅速に行える人とそうでない人がいるが、基本的に即断即決できる人の方が高いインテリジェンスを持っている場合が多い。これは世間一般的にも言われていることであり、経験的にも納得する。
これを受験的な目線で見た場合、『合格する』という明確な目標と乗り越えるべきハードルがわかっているならば、選択肢は『やる』ということ一本であり、それ以外の選択肢は存在しない。よって、『やる』『できる』ための理由を探し、あとは『やらない』『できない』理由を排除し、ひたすら行動していくだけである。
特に受験のような、一朝一夕では攻略不可能な目標に取り組む場合は、その決断の早さこそが合否に直結する。分かりやすく言えば、合格するには『やる』以外の選択肢が存在しないのにそれ以外の選択肢を探したり、実際の行動までの余計な時間が1日1週間1ヶ月と後ろ倒しになればなるほど、受験までの日数を減らし、自分で自分の首を絞めることになる。即断即決しておけば、明日明後日決断するよりも相対的に勝ちやすい勝負であるはずなのに、その決断が遅いばかりに、自分で自分の取り組むべき課題を難しくしているのである。
このような観点で考えると、現在受験を有利に進めている人は、逆説的に考えても、決断が早かったからこそ現在の有利なポジションを得られていることになる。それはこれまでに本人や保護者を含めて迅速な判断の連続ができたからであろう。元来、人は判断や選択をするのが苦手であり、というのも判断や選択には常にその結果(責任)がつきまとうので、そういったストレスを無意識に避ける傾向があるためだが、結果、多くの人が『ギリギリになってからしか動かない』という現象に結びついている。実際にはこのギリギリというのも、当事者的にはギリギリ間に合うと思っているが、客観的にはかなり厳しい場合が多いのも現実にはあり得る。
以上より、これから夏になり天王山を迎える受験的な視点で考えたとき、『今この瞬間に決断し行動した人から順に合格していく』という真理にたどりついてほしい。結局、明日までに決めよう、来週までに始めよう、来月までにやっておけばよい、と決断や行動を先延ばしにすればするほど、自らで自らの首を絞めることになっていることに気が付き、合格への最終切符である夏に対して、どう取り組むべきか、一人ひとりの受験生が将来の自分に向き合って考えてほしい。