同じ問題集や参考書を使っても学力が伸びる学生と伸びない学生の違いの一つに、「理解の咀嚼」がある。平たく言うと、何か問題に出会ったときに「ふーん」というサラッとした程度の理解なのか、「なぜこのような論理なのだろうか」と自分の頭で考える習慣があるか、その違いが後に大きな差となるのだ。
例えば、英単語一つとってみても語彙の豊富な生徒ほど単語を丸暗記というよりは、ある単語に出会ったときに接頭語、接尾語などに注目して単語を“理解して”覚えようとする。pre-(以前の)、dis(反対の)、-ness(状態)のように、意味のあるグループでまとめると単純暗記ではなく咀嚼した理解の下で暗記ができる。そしてこのような覚え方をすると単純暗記より定着しやすいメリットもある。
考える習慣というのは「塵も積もれば山となる」代表例で、この習慣を身に付けると地力と言われる真の学力の向上に寄与する。医学部・難関大を志望する受験生はこの考える習慣を早期に身に付けることが非常に重要で、結果的にはこの習慣のある/なしが合否に直結している可能性が高い。というのも、これら志望校の場合は単純暗記のみでは回答できないような問題を本番で課され、そこが合否の分かれ道になっているパターンが多いからである。
分かりやすい一例として英単語を挙げたが、数学でも物理でも化学でも何でも自分の理解に落とし込む工夫(=理解の咀嚼)をすることで今まで見ていた視点から二段階高い視点で理解できるようになる。もし現在学力が停滞していると感じるならば、日常学習でこの高い視点を得るよう努力・工夫をしてみてほしい。そのためには、今までのフワッとした理解から、なぜ?を意識する学習スタイルに変えてみることが大切だ。目先の理解のみを追求せず、一年という期間の中で学習効率を最大化するにはこのような根源的で咀嚼した考え方を自身に取り入れることが重要である。