『ねじれの位置』は中学 1 年生の数学で学ぶ概念である。多くの学生は高校以降の学習で はあまり触れないが、今年の京大、阪大の入試問題で出題され受験生を驚かせた。大学受 験という文脈では、ほとんどの受験生にとっては“初見”だっただろう。
今回の『ねじれの位置』に限らず、これまでも難関大では『当たり前に知っているこ と』、『当たり前に知っていると思っていること』に焦点を当てる出題が度々されてきた。 感覚的には理解をしているが、改めてその定義を問われると意外と答えられないような問 題を課されることがあり、まさに“盲点”を突く出題である。
こういった盲点を突くタイプの問題に対しては、各予備校や学習塾、学校でピンポイント の対策を立てることはかなり難しいわけだが、とは言え現に出題されている以上何かしら の対策を考える必要がある。その手立ての一つとして、日々の学習で『当たり前に使って いる数式』『当たり前に使っている用語』を他人に説明できるレベルで咀嚼・理解してい るか、ということを確かめることは有効だろう。例えば、『mol(モル)』や『絶対温度』 などは受験生なら毎日目にする用語だが、こういった当たり前の用語をきちんと言語化し 定義できるようにする訓練も必要だろう。
今回のねじれの位置の場合では、『ねじれの位置』と聞いて、多くの受験生は頭の中で“ね じれの位置にある二直線”をパッとイメージすること自体は容易であろうが、それを実際に 言語化できるような工夫を日々の学習で取り入れる。このような工夫は、ねじれの位置そ のものの問題が出なくても空間図形の理解を助けてくれたり、その他直角や平行、二直線 が交わることへ深い洞察を与えてくれるきっかけになる。
難関大や医学部を目指す学生は、日々のちょっとした学習の深掘りによって、結果的に合 否が分かれることが多々ある。今年の『ねじれの位置』にも代表される問題のように、“こ の用語の定義は何かな?”と日々の勉強に一工夫入れて取り組んでみよう。その積み重ねが 来年の試験本番で自身を助けてくれるかもしれない。