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9/9/2022 9:30:00

Case75.北大3割問題

eyecatch
マインド

北海道の皆さんは、【北大3割問題】というものをご存知だろうか?これは北海道大学に入学する学生の道内出身比率が全体の3割程度まで落ち込んでいることを表しているわけだが、言い換えると北海道大学は北海道民のための大学ではなくなったということである。悲しいが、これは数字が物語る現実である。

北海道大学は東京大学や京都大学と同様に旧帝国大学の一つに分類され、全国区の大学であるため全国から受験生が集まるのは至極当然であり、その受験生同士の競争に勝ち残った者が北大合格の栄光を手にすることができる。【北大3割問題】とは、この道内勢と道外勢の競争において道内勢が劣勢を強いられていることを意味している。

例えば、よく北大と比べられる大学の一つとして九州大学がある。九州大学も旧帝国大学の一つであり、九州では最高レベルの大学である。したがって九州に住んでいる人であれば九州で最もレベルの高い九州大学を目指しそこで学を修めたいと考えるのは道理に適っており、結果、九州大学の場合は九州出身割合が6割超となっている。

自分が北大医学部に入学しサークル活動やその他活動で道外勢、特に関東の医学部・難関大生と交流をもったときに強く感じたのは、残念ながら北海道は教育僻地という事実である。今までにもこの言葉を聞いたことはあったし、薄々感じている部分もあったわけだが、実際に彼ら彼女らとコミュニケーションをとる中で、リアルな感覚として、リアルな危機感として心に刻まれた。

教育とは単純学力を上げることだけが目標ではなく、そこには豊かな人間性を育むことも含まれるべきであろう。単純学力のみを求めた結果、人格に問題のある人が誕生してしまうことも事実だし、単純学力以外の才能やスキルも習得することは必要である。しかしながら同時に考えなければならないことは、こういったことを勉強しないための使い勝手の良い理由にしてはならないことである。

もし自分が勉強という土俵に上がり本気で戦おうと決心するならば、高校3年間をがむしゃらに勉強してみるという選択は悪くない。それは自分の頭で考え行動し続けるという習慣につながり、将来社会人になったときにそのプロセスや結果の出し方など大いに応用を利かせることにつながるからである。それゆえ、一つの成功体験として大学受験という社会の仕組みを利用することは理にかなっている。ここで、いわゆる学歴フィルターなどを採用基準に設けている企業などは、この努力する経験、成功する方法、そして成功体験するという一連のストーリーを持っている優秀な社員を獲得したいがために学歴フィルターなるものを利用しているのではなかろうか、そう考えることができるのかもしれない。

もし上記の考えが正しいならば、北大合格という一つの成功体験を得るチャンスを、北海道の高校生は道外の高校生に奪われてしまっているということであり、これは北海道全体の発展から見た場合非常に大きな損失である。道外勢に成功体験をすべて持っていかれ、本来北海道に寄与するはずの人材(人財)が卒業と同時に道外に流出してしまうということにつながりかねないからだ(実際、すでにこの現象はかなりの頻度で起こっているわけだが、、、)。

この問題を真剣に考えるときに最重要で取り組むべきテーマとして、小中高のシームレスな教育を提供する場を広げることだろう。東京や大阪などの大都市圏では当たり前のことだが、この高い志を持つ学生に高い教育を提供し続ける学習環境が北海道は弱い。このあたりが教育僻地と言われる所以であろう。特に地方部では壊滅状態であり、この再構築が急務である。「かつて進学校だった」と化してしまった地方の教育現場の再興なくして解決しえない課題であろう。

この問題に、一人の教育者として、一人の学習塾経営者としてどのように立ち向かい、地元北海道に貢献できるのか、こんなことを考えて日々過ごしている。ひとまずは向こう10年の目標として北大5割問題にしたいところである。

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