受験の直前期になると焦る気持ちが先行し、戦略的に正しいとは言えない勉強法に飛びついてしまうことがある。その勉強法の代表例の一つに「新しい参考書に手を出す」あるいは「難問奇問に手を出す」というものがある。
今は12月、共通テストまで残り1ヶ月。この時期にもなると過去問の演習も捗っているころと思う。しかしながら、一部の受験生は焦りの気持ちが強くなり「これもできない」「あれもできない」と追い詰められ、このタイミングで新しい参考書に手を出す受験生が一定数存在する。12月になってから今まで手を付けていなかった参考書に手を出すのはオススメできない勉強法の代表例であり、たいていの場合十分にその参考書を使いこなせず失敗する。難問奇問を扱っているような問題集であれば尚更で、それができる/できないで合否の決着がつくことはまずない。(ましてや共通テストであれば難問奇問は出題されない。)
直前期に行うべき勉強法の王道は「過去問演習」+「過去問で洗い出した課題に対して今まで取り組んできた問題集で徹底復習」である。実戦的に過去問を行い、そこで得られた課題を手持ちの参考書で確認する、というサイクルを何回も何十回も繰り返すことが最も効果的で効率的なやり方である。このサイクルを何回繰り返せたかで本番までの完成度、すなわち得点率が変わってくると言っても過言ではない。
ただし、この学習法は「完璧」を目指す方法ではないことに留意してほしい。つまり満点を取りに行く学習法とは少し違うのである。この学習法の欠点は、過去問に出てきた分野を、自分の現在の学力に対してパッチワーク式に補填するというやり方であるから、過去問で出会わなかった問題に万が一遭遇した場合はこのやり方では不十分であることがわかるだろう。
とは言うものの、共通テストのように出題範囲がある程度に限られ、かつ問題難易度もおおむね想像できるような問題の時はこのようなやり方が非常にオススメである。満点こそ取れないかもしれないが、9割という一つの大台に乗せることは可能であるからだ。もし直前期の勉強法に自信がなければ、是非ともこのやり方を採用してみてほしい。
共通テストまで残り一ヶ月。一ヶ月あれば、経験的に共通テスト(旧センター試験)の過去問は10年分程度ならやることができる。本気でやれば間に合う残り期間をどう過ごすか、各受験生は最後にもう一度戦略を見直してほしい。