「成功する人は行動力がある」とか、「積極的に行動すれば必ず結果が付いてくる」とか、こういった類の言葉は世に溢れている。これらの言葉は半分正解で、半分不正解であろう。つまり、成功するには行動することが欠かせないのは事実だが、だからと言ってむやみやたらに何でも行動だけすれば成功するというものでもないことを知っておくべきである。
前提として、成功する人はそうでない人の10倍は行動力があるのは事実である。それはどんなに壮大で素晴らしい計画を持っていても、それを行動に移さなければその未来が実現することはないからである。また、多くの人は思い立っても行動しない・できないという場合が大半であるから、行動できる人は全体の中でかなり希少な人種である。よって「行動力」がある人は、それ自体に価値があり素晴らしいことであるという前置きをしつつ、しかしながら「その行動の方向性」に誤りがあると決して自分の描く未来には到達しないことも付け足しておきたい。
とすると、行動する前に自分が描く未来(最終目標)とその過程(中間目標)を意識し、そこから逆算的に行動を計画することが大切ではないだろうか。最終目標の設定はある意味で誰にでもできるが、その途中途中で達成すべき中間目標の設定を適切なレベルと期間で設定するのが得意でない人は多いように感じる。特に猪突猛進の人は、最終目標を抽象度の高い概念のまま、そこから次元を落として考察せずに行き当たりばったりのやり方でひたすら動くだけ動くが、高い抽象度の最終目標を一つずつ要素に分解し、次元を落とし、その目標達成に必要な中間目標を上手に設定できなければ、永遠に「漠然としたゴール」に向かい走り続けなければならない。無限の時間とお金があるのであれば、そのやり方でいつかは最終目標に達するかもしれないが、多くの場合は途中で頓挫する。
適切な中間目標を設定し、その中間目標をいくつも達成していけば最終目標に到達する。その過程では最初に設定した中間目標から多少のズレは生じるだろうが、その細かな修正をくり返すことも戦略的に最終目標に到達するためには欠かせない作業である。このように微修正はあるものの、全体として「行動」をする前に中間目標を随所に設定し、そこを決めてから「真に必要な行動」を起こすことが、中長期的な目線で見た場合は非常に大事である。受験も一年間という中長期的な目線で考えなくてはならない一大事であるから、特に高1, 2生などこれから受験に臨む人には正しい方向性をもって走り出せるように前々から準備してほしい。