受験において同じ学力・偏差値であっても教科によって安定して得点源になるものとそうでないものがある。結論を先に述べると、英語は比較的安定して得点源になりやすいが、数学はそうならない。今日は大学受験における英語と数学の違いを考えてみよう。
まず先に数学の話からしていこう。数学はIAIIBIIIというようにある程度はっきりと出題範囲に区切りがあり、例えば文系であればIIBまで、理系であればIIIまでの全範囲と、文系・理系という枠組みでも大きく分けられる。さらに理系のように全範囲からの出題であっても、大問一題に組み込める分野には限りがあって、ある程度大問それぞれにはテーマが決まっている。もちろん医学部や難関大ではそのテーマが複雑になり、問われる知識や分野も複合的になるが、とは言え一題ですべての範囲をカバーするような問題は作れない。それは逆の見方をすると、ある分野とある分野を攻略すれば、たまたま本番でその分野がドンピシャリで出題されれば超高得点が狙えることを意味する。
一方で英語は、すなわち語学系の科目は数学のように「一発当たった」ということが少ない。つまり、英語というのはある分野に特化した結果ドンピシャリで高得点が狙えるということにはなかなかならない。英語の場合、全文法単元や英単熟語が一定のレベルに達して初めて文章理解ができるため、例えば仮定法だけに特化して理解したところで実際の文章は仮定法も関係詞も時制もすべて万遍なく出題されるため、数学などの理系科目のように分野・分野での得点にはなりにくい。逆に、一度英語の各分野を広く深く理解してしまうと文章の理解が一気に進み、和訳された文章のレベル自体はおおむね中学校の現代文レベルであるから点数の落としようがなくなる。すなわち、「英語は点数が取れる人には安定して取れるが、取れない人には安定して取れない」ということになる。
受験生は各教科の学習を進める上で、自分の得手・不得手を把握するだけではなく、その教科の受験的な特性も理解しておくことが受験勉強を有利に進めるために重要である。今回は数学と英語の対比を行いそのメリット・デメリットを考えてみたが、現在の自分の立ち位置、得意科目・苦手科目、志望校などの状況理解を加えて総合的に考察してみよう。このような考察を加えて日常学習を進める人とそうでない人は、結果的に本番の点数だけでなく日常のメンタルコントロールにも一定の効果がある。
いまここでもう一度各教科の受験戦略を考え直してみよう。合格への突破口を見つける大きなチャンスになるかもしれない。