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10/15/2021 1:00:00

Case30.Anatomy~ようこそ医学部へ~

eyecatch
学生生活

 「ようこそ医学部へ」そんな声が聞こえてくる、それがAnatomy、すなわち解剖学である。各大学のカリキュラムによって若干異なるが、医学部1年生または2年生で体験する全く未知の世界。医療系学部学生以外では見ることのない世界であり、私の医学生時代No.1、No.2に印象深い講義といって差し支えないだろう。

 解剖学は座学的に各種臓器、神経系、筋・骨格系、血管系などを理解するのはもちろんのこと、実際に自分の目で見て手で触ってみるトレーニングが必要である。「この筋肉の起始・停止部、支配神経、関節可動はどうなのかな?」「腹部大動脈の枝の血管を追ってみよう」など、いずれの診療科に将来進んでも医師としての【共通言語】を獲得するために避けては通れない道である。今度機会を見て生理学という学問についても触れてみようと思うが、こちらも医師として働く上で知らなければもぐりと言われてもしょうがない領域である。(というか、医師国家試験に通りません。。。)

 自分の過去を振り返ると、解剖学初日は「異様だった」という印象が正直なところであった。何というか、多数のご献体が目の前にあるその景色は異様であり、あまりに非日常空間だったからである。初日は黙禱から始まり実際の解剖を途中まで終えて昼食に向かったが、全くご飯を食べる気がしなかったのを覚えている。特に肉類は一週間くらい見たくもなかった。ちなみに数年に一度慣れない環境のため気分が悪くなってしまう人がいるようだが、これは致し方ないように思う。

 解剖学は医師になるために知識として必要なだけでなく、学生に医学生としての自覚を芽生えさせるためのプロセスとしても必要だと思う。大学に入った途端に遊び呆けて授業そっちのけで飲み会、部活、バイト三昧の医学生に「あなたは将来医師になるんですよ」と思い出させる効果も併せ持っている。余談だが、私自身は飲み会、部活、バイトなどの学生生活を充実させることにはとても賛成である。ある意味で【人生最後の夏休み】とも言えるこの学生生活を勉強のみで過ごすのはあまりに酷だし、さらに将来医師となる人格を作る点においても他の人がしていることを同じように経験するということは今後医療スタッフと一丸となって仕事をする上でも患者さんと良好な人間関係を構築する上でも必ず役に立つと考えている。

 さて、解剖学の知識の重要性については説明するまでもないことだが、例えば「胸が痛い」という患者さんを目の前にして、一度解剖学を勉強すると胸という言い方は非常に曖昧であり、それを専門家である医師は痛みの局在が本当はどこなのかということをすぐに考えなくてはならない。つまり、それは心臓なのか、左右の肺なのか、気管・食道なのか、胸骨なのか、肋骨なのか、大胸筋なのか、あるいは胃なのか、こういったことをパッと分類し、患者さんの話や診察、理学所見、画像所見などを参考に痛みの局在を医学的に考察し診断・治療に持ち込んでいく。必要に応じて他診療科医師に適切にコンサルトすることも必要で、この際も他診療科医師宛の手紙や診療情報提供書に適切な医学用語、解剖学的用語を用いて記述していくことになる。つまり、知識としての解剖学とは医療者間での【共通言語】である。外科系であっても手術の際には解剖学によって言語化された各種疾患臓器などに外科的治療を施すという点では上記と全く同じである。

 一方で、解剖学の意識改革としての重要性は、先にも述べたように「あなたは近い将来医師になります。その学問的姿勢を改めなさい。」という意味合いを持っているように思う。今後の医学のさらなる発展のために死後もご献体として協力くださったご本人・家族様の深い思いに感謝して、これから自覚をもって勉強しなさいというメッセージである。実際解剖学を終えると、試験そのものが難しいというのもあるが、学生の顔つきが変わると某医学部教授がおっしゃっていたので、これは一定の正しさがあると思われる。自分も「ようこそ医学部へ。そしてこれから医学の道を歩む者は今一度気を引き締めなさい。」という気持ちになったのを覚えている。

 今回は医学部で最も思い出の深い解剖学講義について書いてみた。医学部志望の受験生も来春に入学後ほどなくして体験する講義であり、医学を学ぶ第一歩として期待していてほしい。そのためにもまず今日という一日から一歩ずつ確実に前進しよう。みんななら絶対大丈夫。

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