世の中には信じられないような天才が存在する。これはスポーツや芸術だけでなく勉強においても同じである。全体の中で1%いるかどうかだが、自分では想像もつかないようなバケモノは確かに存在する。一方で、残りの99%は凡人である。凡人は決して天才にはなれない。かく言う私も典型的な凡人の代表だが、凡人であっても天才にこそ勝てないが受験には勝てる。それは、凡人には凡人が取るべき受験戦略があり、それを確実に実行していくことで十分に目標を成し遂げられるからである。

まず、自分が凡人だと悟ったら天才の受験戦略を真似してはならない。参考程度・興味程度に眺めるなら良いが、本気で天才の真似をしてはならない。凡人はいくら背伸びしても凡人だから、天才の真似をしてもたいてい痛い目に遭う。受験はよく長距離走に例えられるが、ジェットエンジン搭載のスーパーカー相手に通常の自家用車が普通に勝負しても勝てるわけがないのと同様に、天才と全く同じやり方でレース(＝受験戦略)を進めても勝ち目はない。

300人の受験レース参加者がいて上位100人が「合格」の表彰台に上がれるとすると、医学部・難関大レースでは最上位10〜20人はジェットエンジン搭載型人間であるから凡人に許された枠は残り80〜90である。大小様々なエンジンを搭載した受験生はレースを繰り広げる途中で脱落者もいるし、手元に地図やナビがなくゴールの位置すらわからず右往左往している者もいる。一方で舗装された走りやすい最短コースを知っている者もいれば、助手席にアドバイザーを同伴した者もいる。

優れた受験指導者はドライバー(＝受験生)の助手席に座り最短かつドライバーが走りやすいコースを適宜選択し助言を与える人間である。現状のエンジン性能や、あるいはドライバーそれぞれのハンドルの癖や素晴らしいドライビング技術があるから、指導者に求められるのは絶対的な解を押し付けるのではなく、より最適な解をドライバーと共有できる能力ということなる。

ジェットエンジン搭載型人間でない凡人は、この優れた指導者に出会えるかどうかが最重要であり、学力の飛躍的な伸びと最終的な合否はほぼここで決まると言っても過言ではない。黙っていてもジェットエンジンの性能だけでゴールできる天才と大きく異なり、コースやドライバーを熟知し、適宜適切なアドバイスを行ってくれる指導者をいかに早く見つけるかが最大のポイントである。特にこれからの高1、2年生は本番レースを迎える前に早い段階でより良い指導者を探しておくことが重要だろう。