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1/16/2026 9:30:00

Case246.静かなる戦い:家族が編む合格までの道のり

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終わらない夜と、誰かの始まり

Eくんは、国公立医学部を目指す高校生でした。彼の戦いは、参考書や過去問との格闘だけでなく、時間と経済的な制約との戦いでもありました。

Eくんは深夜まで机に向かうのが日常だったが、早朝リビングから聞こえる物音で目が覚めることがよくありました。それは、早朝のパートに出かける母親が、Eくんの朝食と昼の弁当を用意する音でした。

ある朝、Eくんは思わず声をかけました。「お母さん、そんなに早く起きなくていいよ」

母親は振り返りもせず、言いました。「あなたが朝ご飯をきちんと食べて、勉強に集中できるのが、私の一番の仕事だからね。あなたは自分のやるべきことだけをやりなさい。」

その言葉は、Eくんの心に深く響きました。自分の学費と生活費のために、無理をして早朝から働く母親の献身。彼の受験は、決して彼一人の努力では成り立っていないことを、彼は痛感しました。

暖房費と父親の口癖

冬の寒さは厳しく、特に真夜中の自室は冷え込みました。彼は暖房をあまり使わず、厚着をして凌いでいました。

父親はいつもは厳しい人で、勉強については口出ししないタイプでしたが、この時期になると毎晩Eくんの部屋のドアをノックし、小さな声でこう言いました。

「いいか、電気代や灯油代なんか気にしなくていい。体を壊すのが一番の不合格だ。暖かくして、集中しろ。」

そして、彼が部屋を出た後、暖房の温度をそっと上げていく音が聞こえるのです。

父親は口を開けば「節約」「無駄遣いするな」が口癖でしたが、唯一、Eくんの「勉強環境」だけは、最優先で守り抜こうとしていたのです。Eくんは、家族の温かいサポートを、口煩い父親の不器用な優しさという形で受け取っていました。

合格がもたらしたもの

そして迎えた合格発表の日。

Eくんは合格通知を握りしめ、リビングで待つ両親の元へ。抱き合って喜ぶという派手なシーンはありませんでしたが、父親は無言で彼の肩を叩き、母親は台所でそっと涙を拭いました。

Eくんは悟りました。彼が勝ち取った合格は、決して高い点数や難しい知識の証明だけではなく、「家族が時間を、お金を、そして健康を犠牲にしてまで捧げてくれた愛と献身への心からの感謝の証」なのだと。

「大丈夫、行ってらっしゃい」—その一言で送り出された春、Eくんは、家族の想いを背負って、新しい一歩を踏み出したのでした。

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