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2/13/2026 9:30:00

Case250.雪の日の図書館で起きた、小さな奇跡

eyecatch
その他

北海道の冬は受験生にとっては少し厳しい。

寒さで指はかじかむし、外に出るのも億劫になる。

そんなある日、高校生のY君は吹雪の中を歩いて図書館へ向かった。

家では集中できないからだ。

図書館に着くと、いつも座る席に先客がいた。白髪まじりの小柄なおばあさん。

机いっぱいに広げられたのは、なんと中学レベルの数学の問題集。

「ここ、いつも君が座ってるよね。ごめんねえ」

そう言って席を譲ろうとするおばあさんに、Y君は慌てて首を振った。

「大丈夫です。あの…勉強されてるんですか」

「うん。孫にね、『おばあちゃんも勉強してみたら?』って言われてね。頭は固くなったけど、やってみると楽しいよ」

おばあさんは照れくさそうに笑った。

その日から、二人は図書館でよく顔を合わせるようになった。

おばあさんはゆっくり問題を解き、Y君は黙々と受験勉強を進める。

ときどき、おばあさんが「これ、どうやるんだっけねえ」と聞いてくる。

Y君は説明しながら、自分の理解が深まっていくのを感じた。

そして受験前日。

おばあさんは、いつもの席でY君を待っていた。

「これ、あんたに渡したくてね」

差し出されたのは、小さな折り鶴。

色は淡い水色。北海道の冬空のような色。

「勉強を教えてくれたお礼。あんたが頑張ってる姿を見るとね、私も負けてられないって思えたんだよ。だから、これは私からの“合格祈願”」

Y君は胸が熱くなった。

誰かに応援されるって、こんなに心強いものなのかと知った。

試験当日、Y君はその折り鶴をポケットに入れて会場へ向かった。

緊張で手が震えたとき、折り鶴の角が指先に触れた。

その瞬間、図書館の静けさと、おばあさんの笑顔がよみがえった。

「大丈夫。やれる」そう思えた。

結果は、合格。

春になり、図書館に報告に行くと、おばあさんは目を細めて言った。

「ほらね、あんたならできると思ってたよ」

その言葉は、どんな合格通知よりも温かかった。

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