センター試験から共通テストに変わり、それに伴いリスニングの配点が大幅に上昇した。昨今の「話せる英語学習」「聞き取れる英語学習」の教育方針を受けてのことだろうが、今日はその方針の良し悪しは置いておき、共通テストレベルのリスニングをいかに攻略していくかをテーマに考えていく。英検1級を比較的余裕をもって突破した自身の経験から、実際には共通テストレベル以上の英語リスニングでも一定以上はその効果を発揮できると思う方法について述べる。
まず大前提として、共通テストレベルの単語、熟語を知っていることが大前提である。当たり前だが、知らない単語は聞き取れないし意味が分からない。共通テストレベルの単語とは4,000~5,000語程度が一つの目安と言われているが、長文読解の英単語レベルよりはリスニングの英単語レベルは1段階落ちる傾向にあるから、リスニングのみの観点ではマスターしておくべき単語数は3,000語程度であろうか。3,000語程度のレベルとは一般的な学校教科書程度の語彙レベルの単語である。医学部や難関大を目指す受験生ならば、仮に耳で聞き取れなくても目で見たら一瞬で理解できなければならない単語レベルということである。今年の共通テストの実例を持ち出すと、regardless of ~, sustainability, appreciateなどの語彙である。
上記の最低限度の語彙は有することを前提として、リスニングで意識して取り組むべき点は個人的に以下の点だと考える。
①単語の正確な発音
②リンキングサウンド、リダクション、フラッピングなどの英語発音特有のルール
③前から意味を取る
④文章内での強弱ポイント(stress)
①日頃の単語学習でどれだけ発音を意識して覚えているかが直結する。発音記号を完全に無視して「she」と「sea」が同じに発音している人などいないだろうか。単語帳の多くにはふつう単語の隣か直下に発音記号が付いている。それを見逃さずに勉強しているか、それが非常に重要なポイントである。
②リンキングサウンドやリダクション、フラッピングなどの専門用語そのものを覚える必要はないが、例えば今年の共通テストの実例では、リンキングサウンド:none of→ナノブ、リダクション:happy and promote→ハピイン~、フラッピング:native→ネイディブの類である。これらは言語化すると上記のように「リンキングサウンド」だとか「リダクション」だとかカッコいい名前があるが、受験生は耳で聞き慣れてなんとなくわかるというレベルで良い。したがってこれは理屈云々よりも数を聞いた分だけ有利になる部分でもある。
③前から意味を汲み取る。これは長文読解でもそのまま言えることだが、文章を後ろから後ろからという訳に慣れている人は絶対的に不利な部分である。本塾では前から前から意味を汲み取る訓練を一年かけてやっており、その感覚でリスニングも捉えられるようになっているとリスニングでもそのまま応用が利く。特に英語は結論が前に出てくる言語であるから、結論を聞いてその追加情報を後から収集していくスタイルの感覚を養成しなくてはならない。(日本語は全く逆。結論が後ろに出てくる。)
④これは英語に限らない話だが、日本語でもそうであるように会話の中で重要な語彙には強いstressを置き、大して重要でないものはサラッと流れる。逆の見方をすれば、強く読まれたところは重要な可能性があり、そうでないところは大したことでない可能性が高い。ある文章を初めて聞いたとき、1回で100%完璧に前置詞も冠詞も聞き取るというのは文章のレベルが高ければ高いほど困難で、それでも試験としてのリスニングで一定の点数が取れるのは「ここがポイントだ」という音を見逃さないからである。それは文章全体の流れの中でstressが置かれた場所を瞬時に聞き取る能力であり、こちらもリスニングを繰り返しトレーニングする中で養成されていく。
個人的には上記4項目が英語リスニングができる人とできない人の一つのポイントのように思う。①と③は日常の机上の英語学習トレーニングである一定レベルまで積むことができ、②と④は実際のトレーニングあるのみというところであろうか。(②は机上でもできるが、受験生にはあまりオススメしない。)
共通テストまで約1ヵ月半というこの時期、各教科のバランスを考えつつ残りの時間をどう使っていくか、理系であれば共テ範囲の国語社会リスニングの学習も含めて合計点としての目標ラインまでいかにもっていくか、この11月中に最終確認をしてほしい。
かなり寒くなってきたし体調管理には十分気を付けて第一志望合格のその瞬間まで走り抜けよう。塾長、顧問、塾スタッフはみんな心の底から応援してますよ。がんばれ。