まさにこれから夏休みが訪れる。受験は夏が終わるとあっという間だ。気が付くと秋になり、そして冬になる。これまでに何度も夏の重要性を伝えてきたが、それでも何となく夏休みに力が入らず時間だけが過ぎてしまう受験生も多い。
受験とは学力の絶対値も重要だが、最終的には相対値で合否が決まる。つまり、偏差値60だからA大学に絶対合格する、偏差値70だからB大学に絶対合格するという戦いではなく、その日その時に試験会場で出会った数倍の倍率の中で頭一つ抜けてはじめて合格を手にすることができる、そんな戦いなのである。
この頭一つ抜けるために大事なことは、他の人がやっていることは自分も当然やった上で、さらにそこに自分の強みを上乗せしていくことだ。そのための時期が夏休みで、夏休みは他の受験生がやっている勉強量・質ともに負けないだけ学習を進め、苦手科目の克服、さらに自分の武器科目を洗練していく必要がある。
上記内容を夏休みに行えなかった場合、秋以降どこかのタイミングで受験生本人に大きな焦りが訪れる。夏までコツコツと勉強を積み重ねてきた人は秋から着実にその勉強成果が現れ始め、結果、本気になれなかった自分との明確な差を肌で感じてしまう。そして「あ、やばい」という焦りの感情が生まれてくる。
人は誰しも思った通りに行かないと焦りが出てくる。しかし焦ると通常では考えられないようなミスを連発し、結果的に思ったような結果を得られない。ではどうするのが最善なのか。絶対に焦らないというのは人である限り無理だが、その状態を急いで行うためのエンジンに置き換えることはできる。焦ったがためにめちゃくちゃな思考回路になるのではなく、残された時間を最大限有効に活用するためにやるべきことをやるべき順番で最大スピードで行う、この発想の転換を行えるかどうか、これが夏以降では特に重要な学習戦略であり精神コントロールのポイントである。
大なり小なり秋になると焦り始めるが、その焦りを少しでも大きくしないために夏にやるべきことをやる、そして焦ってしまっても焦りによる負の感情ではなく理性によって起爆剤の正のエンジンに利用する、この考え方を今一度確認しておこう。このようなマインドセットを組むことも受験では重要なポイントの一つである。