大学受験、特に医学部や難関大受験に置いて、『難問を解く力と基本問題を解く力のどちらが大切ですか?』という質問を受けることがある。正直な話、この質問をする人は学力レベルが高くないことが多い。というのも、この人は難問vs.基本問題のような構造で問題を捉えているが、実際には基本問題の同一線上に難問と呼ばれる部類の問題が存在するからだ。つまり結論を言えば、基本問題を解くということが、それはすでに難問を解く力を身につける過程の一部である。
また、やや別角度からこの問題を考えてみると、医学部や難関大で実際に出題されている問題の多くは基本的な問題を手を変え品を変えて、難問っぽく見せている問題であることが多い。あるいは、基本問題を何問かつなぎ合わせたような形でも出題される。要は、基本的な問題を十分に理解できていれば、少しアレンジされた問題であっても今まで習った問題・経験したことのある問題に帰着する。『あ、この問題はどこかで見たことがあるぞ』となるわけである。当然100%同じ問題というのは出題されないので、部分的に類似している割合が40%なのか、50%なのか、あるいは80%なのか、その割合は異なるだろうが、それが0%の問題というのはほぼ出題されず、逆に0%の問題が出たのであればそれはいわゆる捨て問である。
医学部や難関大に本気で合格するのであれば、上記の感覚に達するまで相当数の基本問題をこなし、各問題120%の理解定着をしておく必要がある。100%の理解定着では十分でなく、120%を目指さなくてはならない。試験本番は時間が限られ、極度の緊張状態の中で戦わなければならないので、基本問題は考えて出てくるというレベルではなく脊髄反射で手が動き始めるという状態に仕上げなくてはならない。
難問を解けるようになりたいならば、基本問題に忠実になろう。その結果として、いわゆる難問に対する解像度も上がってくる。決して、難問集のような問題集を積極的にやるのではなく、基本問題の連続としての難問であるという考え方を大切にしよう。