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2/18/2022 9:30:00

Case46.部活は受験勉強の益か害か

eyecatch
マインド

 「部活やってる学生の方が体力あるし時間の使い方も上手いから最後は合格する」「部活で結局疲れて勉強進まないから受験のためにはやらない方がいい」など部活vs.受験勉強の論争は絶えず行われている。受験生や保護者、さらには受験業界の間でも意見は様々であり、絶対的な正解がないため、自身の経験や周囲の傾向から各々が考えるもっともらしいものを正解にしているのが実情である。

 上記のような実情を踏まえた上で、私個人の意見として「部活は受験勉強の益か害か」論争に一石を投じてみたいと思う。結論、私は【部活は受験勉強に対しては益が害を上回る】、つまり平たく言えば【部活は受験勉強に役立つ】という立場である。その理由は複数あるが今日は「失敗と成功」という大きなテーマから書いてみたいと思う。

 まず、言葉の定義として、部活とは学内学外問わず、また体育会系の活動だけでなく文化系の活動も全て含めて指すものとする。つまり国語数学理科社会英語のようないわゆる“勉強”以外の課外活動は今回部活という一括りの言葉で定義することにする。私が考える部活の最大のメリットは、「失敗と成功」を勉強だけのスケール感ではなくその他の次元でも日常的に経験できるということにある。すなわち、「トライ&エラー」と言われるような「挑戦→失敗→修正→成功」という体験を勉強以外で経験することで、その経験を勉強でも活かすことができるというのが最大の特徴である。

 勉強を始めると誰しもが否応なしに経験する「わからない!どうするんだ?」という問題に対し、どうすればその課題を克服できるのか、どうすればその課題を克服できる可能性が高いのか、という解決策を思考するプロセスを経る。このような問題にぶつかったときに、問題を解決する手立てはたいてい一通りではなく複数あるわけで、どの手持ちのカードを切って克服するかということに頭を使う。換言すると、ある事物に対する課題解決を一通りでしか見れないのか、多面的に俯瞰して見ることができるのかという問題とこれは同値である。そしてここで効いてくるのが、多面的=異なった経験に裏打ちされる課題攻略への視野であり、すなわち、部活で日々繰り返される「トライ&エラー」の経験である。

 バッティング練習をしていて、「こう打ってもダメ、ああ打ってもダメ、それならこう打ってみるか。あ、これならイケるじゃん。」この何気ない、部活では当たり前の感覚を持っているかどうかが非常に重要なポイントで、自立的かつ自律的に自己内省し、自分のスキルを次の段階へ一歩進ませようとする経験値が高ければ高いほど、結果的に勉強でも「トライ&エラー」「挑戦→失敗→修正→成功」「失敗と成功のサイクル」という前向き方向のベクトルを発生させることができる。

 ここに社会人の読者がいるならば、「PDCAサイクル」と行った方がピンとくるかもしれない。上記の前向きのベクトルとはPlan, Do, Check, Actionと言葉の違いやニュアンスこそやや違うが本質的には同じである。社会人であれば、それこそ大学受験を一度終え、大学で多くのことにチャレンジし、社会に出てからも多くの経験をしているため、ある事物に対する課題解決方法は複数のカードの中から選べる状況にあるが、人生経験の少ない高校生は手持ちのカードがそもそも少なくなりがちであるから、その中で部活によって課題攻略への考え方(=手持ちカード)を追加補充し他の高校生より一枚でもカードを多く持っていることは、受験勉強という観点で見た場合でも大きく有利に働く要因となると考える。

 ただし、部活をやっているのと同等か同等以上に受験勉強も真剣に取り組むことが前提条件ではある。部活ではあんなに頭も体も使って課題克服に取り組んでいたのに、勉強になった途端に思考停止では論外である。部活で培ったそのチャレンジングな姿勢を勉強に活かして初めて学習面へも効果を発揮するわけであり、勉強になった途端に大事なカードを温存していては意味がない。

 今回の話は高校生には少し難しかったかもしれない(笑)。そもそも単一方向から事物を眺めるという概念しか有していない可能性もあり、多面的に考えるという概念を共有するところから考えなくてはならないからだ。しかしながら、もし事物に対するアプローチ手段としてすでに何通りからも考える癖がある学生がいたら、それはもう医学部合格への切符を持っている学生なのかもしれない。少なくともその素養はあるように思うのだ。

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