絶体絶命から『本当の力』は生まれる。人間は本来、困難に直面することでしか成長できない。余裕のある環境では、本来もっている知恵も勇気も眠ったままである。安全圏にいる限り、人は自らの可能性を試そうとしない。だからこそ『困ること』は人間にとって不可欠な営みなのだ。
困難は『力』を呼び覚ます契機になる。困難に追い込まれたとき、人は二つの選択肢しか持たない。立ち尽くして諦めるか、あるいは未知の力を振り絞るか。後者を選んだ者だけが、自分でも知らなかった力を発見することができる。
それは単なる努力ではない。極限の状況でしか発揮されない『本当の力』である。歴史を振り返れば、偉人たちの多くは困難の中で飛躍し、偉大な成果を残してきた。発明家は失敗の連続から新しい技術を生み出し、思想家は社会の逆境から新しい理念を打ち立てた。困難は彼らを潰すのではなく、次の段階へ押し上げたのだ。
困ることで人が磨かれるのには三つの側面がある。
- 知恵の側面
困難は思考を鋭くする。解決策を模索する過程で、既存の枠を超えた発想が生まれる。
- 関係の側面
困難は人を結びつける。孤立した状況でこそ、助け合いの絆が深まる。
- 精神の側面
困難は自己信頼を育てる。追い込まれた場面で力を発揮した経験は、『自分はできる』という自信と確信を残す。
この三つが揃ったとき、人は次の段階へと押し上げられる。
よって若者は特に『困らないように生きる』のではなく、『困ったときこそ力を出せる』という考え方を持っておこう。この視点を持つだけで人生の景色は変わる。困難は避けるものではなく、挑むもので、絶体絶命は終わりではなく、始まりである。むしろ困難を歓迎する心構えこそが、未来を切り拓く。困難は人間を試す試金石であり、そこから逃げることは自らの可能性を閉ざすことに等しい。
若者よ、困れ。困らなきゃ何もできない。本来の眠った力を発揮するのに最善な方法は困ることだ。そして、絶体絶命に追い込まれたときに出る力こそが、あなたの『本当の力』である。