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9/8/2023 9:30:00

Case124.AI世界

eyecatch
その他

世界的に進歩の目覚ましい技術の一つに AI 技術がある。2018 年に「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」という書籍が話題になったが、今後十年単位では AI 技術の台頭によって一部の職種は AI に取って代わられると一般にも信じられている。完全に取って代わられることはないものの、人員削減の対象にされることはほぼ間違いないだろう。

今日、一般に認知されている AI 技術の一つに「機械学習」がある。それはビッグデータと呼ばれる過去の大量のデータを AI に学習させ、そこから共通する特徴や関連性を見つけ出し、普遍的なルールを導き出す手法である。この根本的な考え方は「過去と同じ傾向が続くならば未来も連続的に同一線上に存在する」というものである。たしかにこのやり方であれば連続的である限りある程度の確からしさで正解に近づくため、「大不正解」には至らない点で優れており、また確からしい。

しかし、60-80 点を目指すような文書や回答の作成であればこの AI 技術で十分であろうが、90-100 点を取りにいかなくてはならない場合、あるいは「過去と同じ傾向が続く」という前提か大きく崩れた場合、このやり方は全く通用しなくなる。さらに前提のビッグデータを大量に学習させるときにも、最初に設定した仮説と学ばせるべきデータにミスマッチが起こっていると、当然ながら得られる答えも見当違いになる。

このように考えると、AI 技術が台頭した際に最初に淘汰され得る人材は「前提を疑わず盲目的に表面的なデータを信じる人」や「過去のデータが未来にも全く同様に外挿できると信じて疑わない人」、「あるデータを用いて思考した際に、そこで得られた結果と元データの整合性を検討し理解できない人」、「そもそもの仮説を上手に設定できない人」などであろう。

これらの人材は、少なくとも既存の AI ですら日常に利用された時点で AI より高いパフォーマンスを発揮できない。逆にこれから十年、二十年の単位で活躍できる人材は、少なくとも既存の AI 技術に不足している点を補える人、例えば「大前提となる仮説を正しく設定し AI に学習させるデータの大枠を正しく設定できる人」、「得られた結果をデータと紐づけて表面的な解釈ではなく論理的に正しく解釈できる人」、さらに「過去と未来に非連続的な変化を起こし得る人」などであろう。こういった人材は少なくとも今日の AI 技術で容易に想像できる進歩をしても、おそらくすぐに AI に代替されるということはないだろう。

これからの時代には間違いなく AI 技術が我々の日常生活にもっと入り込んでくる。その中で AI と共存し、AI に利用されるのではなく利用する側になるためにも、人間側にも頭の使い方の工夫が求められそうだ。

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