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6/4/2021 6:32:00

Case6.数学の重要性

eyecatch
教科別

 数学は受験という観点のみならず、日常生活においても最も重要な科目である。多くの読者は「???受験の観点なら分かるけど、むしろ日常生活とは最も疎遠な科目ではないのか」と思うだろう。否。数学こそが最も人間の思考を支える基幹的な科目である。

 多くの人は「sin, cos何に使うの?」「コンビニに行っても微分積分は使わない」などの誤った「数学」に関する理解であり、これら意見のほとんどは「数学」という本質的概念を理解していない。彼ら彼女らの指摘する「数学」とはたいていの場合「公式の使い方」や「計算」などの「作業」的な側面に焦点が当たっている。全くナンセンスである。「数学」とは本来「論理的な思考プロセスを獲得する」「論証の組み立て方を学ぶ」といった学問である。私は数学科卒の人間ではないが、数学科卒の友人が周りに何人もいて、彼らは決して計算がものすごく速い人ではない。物事を論理的に咀嚼し、プロセスに分解し、必要に応じて数字やコトバに置き換えていくプロである。そしてそれは普段何気ない会話からも「この人は論理的思考が鋭いな」と感じることができる。

 この論理的思考力は職種を問わず社会人になってからも大いに役立つと思う。具体的には、数学的思考力を有する人の話は実に「わかりやすく」、一方そうでない人の話は実に「わかりにくい」。もっと言うと、わかりやすい=数値を用いて定量的に表現できる、わかりにくい=抽象的な表現が中心で定性的である、と言える。友人とフランクに話している場面では「めっちゃ」「すげえ」などの曖昧な表現で全く問題ないが、仕事上で「めっちゃやばい」「すげえ売れた」などの相談・報告を聞いたとき「コノヒトダイジョウブデスカ??」と思ってしまう。その定性的表現は主観的であるし、相手が欲しい情報を何も有していない。主観的意見を述べるにしても客観的事実を基軸にして述べるべきだし、またそれを混同してはいけない。例えば、「めっちゃやばい→前日の採血データと比較して〇〇が××の値に低下しているので△△の可能性が示唆されます」であるべきだし、「すげえ売れた→前月比で〇〇の商品が1000から1300個に売り上げが伸びたので××円の利益は出そうです」の方が遥かにスマートである。これらは卑近な例でわかりやすいものを取り上げたが、程度はあれ同様の事例は枚挙に暇がない。

 また、数学の学習における他の重要な要素として「相手が言っていることが本当かどうか」を吟味する力を養うことも挙げられる。これも結局は論理の組み立ての応用であり、相手を騙そうと体裁を繕って話す相手の矛盾を指摘できる。併せて、相手から与えられる情報の妥当性を検討でき、いわゆる「二次情報」「三次情報」に踊らされなくなる。つまりネットで「偉い〇〇っていう先生が××って言ってたダイエット法がすごいらしい」などに踊らされなくなる。理詰めで考えれば簡単にわかるのに易々と騙される人が多くいる。逆に、相手にモノを説明し納得させる場合は、正しい論理の組み立てが行えると相手の納得は得やすい。

 少なくとも医師はこの論理的思考、論証の組み立てを職業上必要とする。ある疾患に対する診断から治療までの一連のプロセスを念頭に置き、患者・家族への説明・説得など、少なくとも最初は論理的に展開を試みる。(ここで「最初は」と述べたのは、実際には相手は感情をもつ人であり、論理のみでは納得してもらえないことや、相手のレベルに合わせて定量的表現よりも定性的表現を使うこと、さらに医師個人の経験的診断・治療を行うことも現場ではあるからである。医療従事者間での情報共有は間違いがないように具体的数値を用いた定量的表現や具体性を伴った表現の方が好ましい。)

 医学部合格を目指し、そしてこれから医師になる受験生には、今一度「数学はその形を変えて働いてからも一生付き合うことになる」という気持ちで数学に取り組んでほしいと思う。数学で得た思考力は一生ものの宝である。

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