これまで多くの受験生とその家族を見てきて思うのは、家族関係が良好な家庭は受験も合格しやすいということだ。生徒・保護者様と三者面談(ときに四者面談)をしていると、『このご家庭なら受験は大丈夫そうだ』と確信することがある。
良好な親子関係としては、親は子を信頼しているし、子は親を信頼しているのはもちろん、感謝もしているように見える。実際に口にこそ出していないかもしれないが、親は子の選択を尊重し、その過程に寄り添い、子の選択と行動に信頼をしている。ときにその過程に口出しをするが、決して過干渉や過保護にならず、必要最低限のアドバイスでとどまっている。結果は様々であろうが、特にその結果が悪かったときに『だから私(母親や父親)の言ったとおりにしておけば良かったのに』というような、子の選択や行動そのものを否定したりするようなことは言わないだろう。おそらくこのような過程を経て、子は親に守られた範囲内で自分の選択と行動に対して責任を負うという経験をし、自立も自律もできるようになり、主体的に考えて行動するという正のスパイラルを形成していくのだと思う。
また、子も絶対的に親を信頼し、必要な時に適切な形で頼れることにつながっている。自分のことを尊重・信頼し、主体的に行動させてくれていることや適切なアドバイスをくれること、さらに常に心理的安全性や衣食住をまかなってくれていることに対して次第に感謝も示すようになる。年頃のため、実際に口に出すことは少ないかもしれないが、その態度が物語っているのだ。
このような関係は小さいころからの積み重ねで構築されるものだろう。決して受験期に入ったときに、急にパッと出来上がるものではない。受験期は親も子も相当なプレッシャーとストレスがかかる。受験勉強は予定通りに勉強が進まないことがほとんどだが、受験生は試行錯誤を繰り返して成長している。そのようなときに頼れる親がいるのか、はたまた『なんであなたは〇〇なの』『だからあのとき××って言ったでしょ』と叱る親がいるのか、これは受験勉強のモチベーション維持やストレスにも影響がある。
特にこれから受験を迎える家庭、あるいは数年後に受験を迎える家庭、いずれもまさに『受験は団体戦』という考えで苦難を乗り切ってほしい。